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爆笑を誘うというよりは、クスっと笑えるところがエテックスらしい。

「健康でさえあれば HDレストア版 [DVD]」【映像特典】短編「絶好調」/「健康でさえあれば」「絶好調」

ピエール・エテックス(1928-2016/87歳没)の「健康でさえあれば」は、「不眠症」「シネマトグラフ」「健康でさえあれば」「もう森へなんか行かない」の4話のオムニバス映画。1965年に一本の長編として仕上げられたものを1971年に再編集し、もともと一部を構成していた「絶好調」を独立させ、お蔵入りにしていた「もう森へなんか行かない」を第4話に入れたとのことです。
「不眠症」... 夜なかなか寝付けない男(エテックス)は、時間を潰そうとしてドラキュラ小説を読み始めるが―。ベッドで小説を読む男のいる
現実世界(カラー)と、ドラキュラ小説の世界(モノクロ)を行き来し、やがて両方が交錯する展開が面白かったです。ドラキュラ小説の世界は重厚にしっかり描かれていて、トッド・ブラウニング の 「魔人ドラキュラ」('31年/米)をも想起させますが、そのドラキュラ伯爵を演じているのは名優ベラ・ルゴシならぬエテックス本人であるというのが可笑しいです(ドラキュラに追われている少女役の女優が綺麗)。
「シネマトグラフ」... 男(エテックス)は映画館にいたはずだったのだが、幕間に流れるCM の奇妙な世界へ入り込んでしまう―。序盤は映画館の客たちのマナーの悪さが面白おかしく描かれ、映画が始まる前にTVコマーシャルっぽいCMが入るのですが、そのトーンがどこか変てこで、CMタレントたちが商品の効果を訴える相手がいつの間にかエテックスが演じる男になってしまっています。現実と仮想が交錯すると言う点で第1話「不眠症」に似ていますが、こちらは主人公が完全にCMの世界に入り込んでしまう感じ。"一滴垂らすだけで水を牛乳に変えるエキス"とか"車から髪の毛からサラダまで使える万能オイル"とか、完全に誇大広告の皮肉。シュールな小ネタの数々が楽しいです。
「健康でさえあれば」... 近代化が進む都市。誰もがストレスを抱えて精神科を訪ねるが、ひときわストレスを抱えているのは精神科医本人だった。そこへ一人の男(エテックス)が訪ねて来る―。工事現場の騒音、交通渋滞といった現代ストレスの元凶が描かれ、バックには常にドリルを穿つような音が流れる中、話は展開していきます。と言っても脈絡が」あるような話でもなく、ナンセンスギャグの連続という感じ。込み合ったレストランで男の隣に席移動した薬剤師が、誤って男の薬かなんかを食べてしまうコント風のギャグが可笑しかったです(精神科のグラマーな受付嬢はベラ・バルモントか)。
「もう森へなんか行かない」... 都会の喧騒から打って変わって、小鳥のさえずる田園が舞台。森に狩りにきた下手糞ハンター(エテックス)、境界柵の杭打ち作業をする農夫(管理人?)、ピクニックに来た中年夫婦が織りなすカリカチュア―。お互いに干渉し合ってお互いに目標が達成できないという状況を、ドリフターズのコントの連続のような形で描き出しています。4話の中では、比較的オーソドックスなコメディかも。第3話「健康でさえあれば」と突き合わせると、都会も嫌だけれど、田舎も楽しいことは無いということになる?
以上が「健康でさえあれば」の全4話。続いて「絶好調」。

「絶好調」... 田舎でソロキャンプをしていた青年(エテックス)は、管理の行き届いたキャンプ場へ行くよう警官に指示される。仕方なくキャンプ場へ移動したものの、そこは有刺鉄線で囲われた強制収容所(キャンプ)のような場所だった―。序盤のソロキャンプでいつまでも珈琲が沸かせないエテックスは、短編「破局」の手紙をなかなか書けないエテックスに通じます。中盤以降は、管理社会を皮肉ったものですが、次第に別の意味でのキャンプ=強制収容所のパロディになっていくところがブラック。最後は「大脱走」よろしくトンネルで脱出‼
「ヨーヨー」('64年)の公開当時の評判がイマイチで(今観るとよく出来ていると思うが)、もっと面白いものをとの要請で作られたとのことですが、それぞれに面白いものの、やや方向性に一貫したものがなく(無理やり1つの作品にした印象も)、ギャグの積み重ねであるという印象は拭えません(「ヨーヨー」を超えてはいない)。ただ、爆笑を誘うというよりは、クスっと笑えるところがエテックスらしく、○としました。
Tant qu'on a la santé[評価 7.0]

「健康でさえあれば」●原題:TANT QU'ON A LA SANTE(英題:AS LONG AS YOU'VE GOT YOUR HEALTH)●制作年:1965 年●制作国:フランス●監督:ピエール・エテックス●製作:ポール・クロードン●脚本:ピエール・エテックス/ジャン=クロード・カリエール●撮影:ジャン・ボフティ●音楽:ジャン・パイヨー●時間:67分●出演:ピエール・エテックス/デニース・ペロンヌ/サヴィーヌ・サン/ベラ・バルモント/ロジェ・トラップ●日本公開:2022/12●配給:ザジフィルムズ●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-08-20)(評価:★★★☆)

En pleine forme[評価 6.7]

「絶好調」●原題:EN PLEINE FORME(英題:FEELING GOOD)●制作年:1965年●制作国:フランス●監督:ピエール・エテックス●製作:ポール・クロードン●脚本:ピエール・エテックス/ジャン=クロード・カリエール●撮影:ジャン・ボフティ●音楽:ジャン・パイヨー●時間:14分●出演:ピエール・エテックス/ロジェ・トラップ /プレストン/ロベルト・ブロメ●日本公開:2022/12●配給:ザジフィルムズ●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-08-20)(評価:★★★☆)
